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あこがれ

2011年6月21日 (火)
 
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 6月初め、これまでの住まいから約300キロ離れた町に越してきた。坂を登り振り向くと海が見える港町。時折ボーッと船の汽笛の音がする。家の中も大分落ち着いた先週末、元町界隈を散歩した。夏休みには少し早い今の時期、観光客はまだまばらだ。
 転勤族のわが家は幾度も引越しを繰り返してきた。荷造りの度、いつも思う。こんなにモノがあったのか!と。
 本当に必要なモノだけで生きるシンプルな暮らしがあこがれだ。でも実際は「いつか使おう」としまい込んだたくさんのモノをダンボールに入れたまま、持ち歩いて生きてきた。洋服、雑貨、食器類、本たち…。遠い未来、今よりちょっと平穏で輝かしい日が訪れて、しまい込んだモノたちが活躍する日が来るだろうと、漠然と思い続けて来たわけだ。でも子どもたちも一人、二人と自分の道を歩いて行き、夫とふたりに戻った今、「いつか」を「今」にすることはきっとたやすいはずなのだ。ダンボールは空にして、使いたいモノは今使おう。使わないモノたち、さようなら。シンプルを「あこがれ」や「いつか」ではなく今の生き方にするために、身軽になって暮らしたい。エッセンスだけを手元に生きてみたい。この港町にいる間、そんな暮らしを手に入れよう。
 でも絶対に、持ち続けたいモノがある。オーブン、めん棒、ホームベーカリー。クックで出会ったパンたちを作る暮らしは捨てられない。家族、知人、自分のためにおいしいパンを焼き続ける。それは勿論、あこがれのシンプルライフの中にある。