57℃ 牛ヒレ幽庵焼き 漬け地比較実験
Description
3つの方法で検証!
材料
作り方
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日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?
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もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が
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増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。
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“幽庵焼き”は同量のしょうゆ・酒・みりんを入れた漬け地(柚子なのど柑橘で風味付けすることが多い)に、
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肉や魚などを漬け込んで焼く料理である。江戸時代の茶人で、食通でもあった北村祐庵が考案したとされている。
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通常はバットなどに入れた漬け地に食材を漬けるが、その時に満遍なく味が行きわたるように途中で食材を裏返す。
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そしてその後、汁気を切って焼き上げる。
漬け地をバットに入れて食材を漬けるのではなくフリーザーバッグを使えば、
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バッグに漬け地と食材を入れて空気を抜き、裏返す必要もなく漬け地を行き渡らせて漬けられる。また漬け地も少ない量で済む。
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そこで考えた。せっかくフリーザーバッグの空気を抜いて漬け地に漬けたのだから、漬け地ごと低温調理するとどうなるのか?
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しかしそれでは通常より長時間漬け地に浸かっていることになるので、味が濃くなりすぎないか?
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それでは、“漬け地に漬ける”とつまり食材を漬け地に漬けておくのではなしに、漬け地と共に低温調理するとどうなるのか?
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牛ヒレを使って幽庵焼きの低温調理比較実験を行う。
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味が濃くなりすぎてしまうのか?牛ヒレに漬け地が中まで浸透した“煮物”のようになってしまうのか?
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牛ヒレを
①漬け地に漬ける(1時間)→ 汁気を切ってBONIQ(2時間35分)
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②漬け地に漬ける(1時間)→ 漬け地ごとBONIQ(2時間35分)
③漬け地と一緒にBONIQ(2時間35分)
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※BONIQ設定温度はすべて、牛ヒレをミディアムレアに仕上げる57℃とする。
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また設定時間は厚さ2㎝の牛肉が充分に加熱殺菌できる時間で設定した。
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※通常幽庵焼きは食材を漬けた後に焼くが、今回は漬け地と低温調理の関係を見るための実験であるので最後に焼く工程は省略する。
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<検証①牛ヒレを漬け地に漬ける(1時間)→ 汁気を切ってBONIQ(2時間35分)>
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フリーザーバッグにしょうゆ・酒・みりんを入れて漬け地を作り、牛ヒレを入れて空気を抜いて密封する。
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冷蔵庫に入れ1時間漬ける。
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フリーザーバッグの中の漬け地を空けて牛ヒレだけにし、空気を抜いて密封する。
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BONIQ(57℃ 2時間35分)で低温調理する。
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フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0
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<検証②漬け地に漬ける(1時間)→ 漬け地ごとBONIQ(2時間35分)>
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フリーザーバッグにしょうゆ・酒・みりんを入れて漬け地を作り、牛ヒレを入れ空気を抜いて密封する。
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冷蔵庫に入れ1時間漬ける。
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漬け地を入れたままBONIQ(57℃ 2時間35分)で低温調理する。
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<検証③漬け地と一緒にBONIQ(2時間35分)>
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フリーザーバッグにしょうゆ・酒・みりんを入れて漬け地を作り、牛ヒレを入れ空気を抜いて密封する。
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すぐにBONIQ(57℃ 2時間35分)で低温調理する。
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<比較実験結果>
それぞれ、以下のような結果となった。
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「①漬けた後、汁気を切ってBONIQ」は上品に漬け地の風味が付いているのに対し、「②漬けた後、漬け地と共にBONIQ」
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は味が付きすぎている。これはこれで美味しいが、せっかくの牛ヒレを使うのだから肉本来の味わいをもっと残す方が良い。
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例えばとてもクセのある肉(ジビエとか・・・)の場合には使える方法か。
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「③漬けずに、漬け地と共にBONIQ」はほどほどに風味がついており、「牛ヒレを漬け地に1時間漬けおく」という工程を省き、
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“漬け地に漬ける”と“低温調理”が同時にできることを証明した。①に比べてやや味が濃く仕上がっており、
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漬け地を半分に減らすくらいでちょうど良いのではないか。①~③でも既に一般的な幽庵焼きの漬け地の半分以下の漬け地量であるが
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さらに少なくて良いかもしれない。
また、①~③の漬け地はみりんと酒を煮切らないで使ったが、低温料理ではアルコールが
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フリーザーバッグの中に充満して蒸発できないため、ややアルコール臭くなってしまう。①ではそんなに気にならなかったが、
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②③はややアルコール臭く感じた。やはり酒とみりんは煮切って使った方が良い。
そこで③を改良して
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④「漬けずに、半分量の漬け地(みりんと酒は煮切る)と共にBONIQ」を行った。
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※ここの半分量とは牛ヒレ130gに対して、酒・しょうゆ・みりん各大さじ1。
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アルコール臭さはなく味も牛ヒレ本来の旨みを生かせるほど上品で程良い!
「牛ヒレを漬け地に1時間漬けおく」という工程を省き
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“漬け地に漬ける”と“低温調理”が同時にできることを③よりもさらに証明できた。“アルコール臭くなく”、
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“煮物”のようにもならず、素材本来の旨みを生かす“程よい風味”が付けられる、完璧な仕上がりと言える。
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従来の方法では漬け地に食材がきちんと浸かるならば、漬け地の量が多くても少なくてもあまり味の濃さに影響はない。しかし、
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低温調理の場合はフリーザーバッグ内で調理を行うので、肉からドリップが出てくる。それゆえ、漬け地がドリップで薄まる
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度合いによって、つまり漬け地の量で肉への味の付き方が変わるのだと考えられる。
また今回は牛ヒレで行ったが、
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牛が安全に低温調理できる設定時間と、漬け地から牛へ味の付くスピードがちょうど合ったから成功したとも言える。
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他の食材ではどうなのか?魚ではもっと調理時間が短くなるが、今回の④の方法で上手くいくのか?今後さらなる研究が必要である。
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コツ・ポイント
今回はオーストラリア産のタスマニアビーフを使いましたが、和牛ヒレでは脂と肉の風味を生かせるよう、