牛ももローストビーフ いつ焼く?比較実験

牛ももローストビーフ いつ焼く?比較実験の画像

Description

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

材料

各1本(厚さ4cm/180g)
各1.6g(肉の重量の約0.9%)

作り方

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    <比較実験背景>

    低温調理のローストビーフはBONIQレシピの中でも人気料理の一つである。

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    ところがこのローストビーフ、実際に“ロースト”しているわけではない。

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    ロースト”とは食材をオーブンに入れて焼き目がつくまで焼いたり、串刺しにした食材を直火で炙ったりする調理法である。

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    厳密に言うと、低温調理の湯せんで仕上げた塊肉の牛肉料理は“ローストビーフ"ではない。しかし、

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    料理をイメージしやすいように“ローストビーフ”と言っている。
    従来法のオーブンでローストする方法では、

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    肉の表面がカリッと褐色になり(=メイラード反応)肉に香ばしさを与え複雑な香りが生まれる。

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    湯せんによる低温調理の弱点はまさにここで、メイラード反応が起こせない。それを補うために、これまでBONIQの

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    ローストビーフやステーキのレシピでは、低温調理前に肉の表面を焼いたり、調理後に肉を焼いたりしていた。

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    そうすることで、肉に香ばしさを与えていた。
    では肉の表面を焼くのは低温調理「前」が良いのか?「後」が良いのか?

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    生の塊肉の表面を強火でしっかり焼いて旨みを閉じ込める下処理は、「リソレ」と言ってフランス料理の中で最も重要な技法の

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    一つである。「低温調理前」に肉の表面を焼くのは、湯せんの低温調理ではどこまで有効なのか?

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    「低温調理後」に表面を焼いた方がパリッと香ばしく仕上がるのではないか?

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    そこでオーストラリア産牛もも(厚さ4cm)を使い、

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    実験①:低温調理「前」に表面を焼く(表面焼く→BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)  

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    実験②:低温調理「後」に表面を焼く(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→表面焼く) 

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    実験③:焼かない(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)

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    低温調理「前」に肉の表面を焼くことで、調理中のドリップの流出を抑えて旨みを閉じ込めることができるのか?

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    仕上がりの香ばしさが半減しないか?
    低温調理「後」に焼くと、パリッと香ばしくなるのを期待する反面、

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    内部の温度が上昇してしまうのか?

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    実験①②の「焼く」ものと比べて③「焼かない」ものはドリップの流出や香ばしさの点でどれくらい違うのか?

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    この時、塩を入れるタイミングは低温調理後にバッグに塩を入れて肉に含ませることとする。

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    (「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較(ID:5173129)」参照:「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」

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    が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。)

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    <BONIQ温度>

    57℃
    04:15(4時間15分)

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    ※参照:低温調理 加熱時間基準表(https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf)

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    <比較実験>

    すべて同じ大きさ、厚さに整えた牛もも肉をそれぞれの工程で調理する。

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    実験①:低温調理「前」に表面を焼く(表面焼く→BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)  

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    実験②:低温調理「後」に表面を焼く(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→表面焼く) 

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    実験③:焼かない(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)

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    BONIQは57℃ 4時間15分行う。
    BONIQの終了タイマーが鳴ったらそれぞれバッグを開けて塩を入れ、

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    肉に含ませ冷却する。
    その後50℃まで温め、比較試食を行う。

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    <比較実験結果>

    全て50℃の湯せんで温めたところで、まずドリップの量を比べてみる。

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    ②③はどちらもまだ焼いていおらず同じ状態なので、ほぼ同じ量となる(2gは誤差の範囲)のは当たり前であるが、

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    それに比べ①はドリップが少ない。やはり低温調理「前」に肉の表面を焼き固めることで、調理中のドリップの流出を抑えられた

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    ということか。①が一番ジューシーなのではと期待できる。

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    そして低温調理後に表面を焼いた②は50℃→約53℃と、内部に火が入りすぎることはなかった。

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    例えば一次加熱温度の57℃まで最初に温めた状態で表面を焼けば、内部温度が狙った芯温よりも上がってしまう。

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    なので調理後に表面を焼くのなら、温めはやや低めの温度にとどめておいた方が良いということになる。

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    次はもも肉をスライスして実食に移る。

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    ①も香ばしい香りがするが、②は仕上げ時に焼いている分、もっとフレッシュで香ばしい香りがする。

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    ②はツヤツヤして見るからに美味しそうな見た目に仕上がっている。しかし、①②は③と比べて断然硬くなっている。

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    2~3㎜くらいとかなり薄くスライスしているにも関わらず、①②はかなり嚙み応えがある。

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    表面だけさっと焼いただけであるが、焼かないものとの噛み応えの差は歴然である。

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    ③は焼いていないので香ばしさが物足りないが、一番柔らかい。しかもドリップが少なかった①よりしっとりしているように感じる。

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    見た目 ②>①>③
    香ばしさ ②>①>③
    ジューシーさ ③≒①>②
    柔らかさ ③>①≒②
    総合的な美味しさ ③>①≒②

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    ①②で焼けた肉の香ばしさが加わるのも良いが、やはり硬さが気になる。それならば焼かずに柔らかい③の方が良いと感じた。

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    今回使用したのは“牛もも”であり、脂が少なく硬い肉質なので美味しいポイントとして「柔らかさ」が優先されたのかもしれない。

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    例えば“ヒレ”などであれば元々柔らかい肉質なので、どれも柔らかく仕上がるとしたら、また結果が違うかもしれない。

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    今回は「③焼かない」方が良いという結果になったが55℃でホールディング(24時間や36時間などと長時間一定の温度で保温)

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    で①②に柔らかさを加えられるのなら、“香ばしさ”と“柔らかさ”を両立した牛もものローストビーフができるかもしれない。

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    (参照:「ホールディングは有効?比較実験~牛ももVo.2~(ID:6626826)」

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    「ホールディングは有効?比較実験~牛ももVo.3~(ID:6671831)」)

コツ・ポイント

①②の焼けた肉の香ばしい香りはとても食欲をそそり、味も間違いなく美味しいのですが、今回は③の柔らかさの方が強く印象に残りました。しかし、香ばしさが足りないという面では完璧なローストビーフとは言えません。

このレシピの生い立ち

それぞれのやり方に一長一短が見つかりました。
“香ばしさ”と“柔らかさ”を両立した究極のローストビーフが出来るのか?
他の部位ではどうなるのか?
さらなる研究をすすめたいと思います。
レシピID : 6738250 公開日 : 21/04/16 更新日 : 21/04/16

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1 (1人)
初れぽ
写真
わーさー
焼かないのありですね。