立春から数えて88日目の「八十八夜」が暦に登場したのは、約350年前の伊勢歴から。「春もそろそろ終わりで、もう霜が降ることもないだろうから、この日から夏の農作業の準備を始めてよし」と幕府から農民に伝える目的だったのだそうですよ。
八十八夜に摘み取ったお茶が“不老長寿の縁起物”として古くから珍重されている通り、この時期に摘み取られる「新芽」には、越冬して蓄えた栄養が溢れています。茶葉の育て方は大きく分けて2通りあって、その育て方によってお茶の種類が分かれ、含まれる栄養成分の量にも若干違いがあるんです。
茶畑に覆いをして直射日光に当てずに育てた茶葉が、「抹茶」「玉露」になります。どちらも甘みを感じるお茶ですが、その甘みの元となる【テアニン】というアミノ酸が豊富だから。【テアニン】は大脳に働きかけてα波を出すといわれ、リラックス効果が高い成分です。
さんさんと降り注ぐ太陽の下で育った茶葉で作られるのが、「煎茶」や「番茶」。このタイプのお茶には、渋味を出すタンニンの一種【カテキン】が多く含まれていて、風邪ウイルスや食中毒を招く菌などを体外に排出する抗菌作用、すなわちデトックス効果に優れています。
暑くなってくると、やっぱり冷たいお茶が欲しくなりますよね。「熱いお茶は急須で入れるけど、冷茶はもっぱらペットボトル」という人も、ぜひ美味しい冷茶の入れ方を覚えて、この夏は“自家製の味”で美味しく過ごしてくださいね!
※お茶パックに茶葉をギューギュー詰めにすると、茶葉が開きにくくなり、風味の出が悪くなることも。大量に作るときは、パックをいくつかに分けましょう。
※氷で急速に冷やすことで、淹れたての緑茶の味と香りがキープできます。
もっと濃い、贅沢な冷茶が飲みたい方は、「水出し」と「ロック」の手法を合わせた淹れ方をしてみましょう。
※茶葉の量が多いので、あまり大量に作ると渋味が出過ぎてしまうことがあるので、要注意。
緑茶を入れるのに適した水は「軟水」です。軟水のミネラルウォーターを使うのもいいですし、水道水を利用する場合は浄水器を通すか、一度沸騰させて冷ましたものを使うと、より美味しくなりますよ。(TEXT:大河原裕美)