妊娠中のベストな食事ルール
監修:牧野直子
スタジオ食(くう)代表。「家族みんなが楽しめる、身体に優しい、簡単で美味しいレシピの提案」をモットーに、テレビや雑誌などのメディア出演、離乳食本の監修など幅広く活躍中。生活保健所や小児科などでママたちへの栄養指導やメニュー提案もしている。一児の母。
妊娠中にいちばん大切なことは?
妊娠中に最も大切なことは、バランスのよい食事です。妊娠中にこれだけ食べておけば大丈夫、という食材はありません。
バランスのよい食事とは?
  • エネルギー源となる炭水化物の「主食」(ごはん、麺、パンなど)
  • タンパク質を含むおかず類の「主菜」(肉、魚、大豆、たまご)
  • ビタミン、ミネラル、食物繊維が補えるおひたしやサラダなどの「副菜」(野菜、きのこ、海藻類など)
この3つが毎食揃えば自ずとバランスがとれます。まずはこれを身につけましょう。
妊娠中に必要な栄養素は?
「主食」「主菜」「副菜」3つのバランスがとれる食事をベースに、妊娠中に不足しがちな栄養素をプラスしましょう。母体の栄養は優先的に赤ちゃんへ運ばれるので、赤ちゃんのためにもお母さん自身のためにも量・質ともにきちんと栄養をとっていく必要があります。
  • :もともと女性は男性に比べ鉄が不足しやすい上に、鉄は赤ちゃんへ優先的に運ばれる栄養素です。お母さんの貧血予防のために鉄を積極的に摂取しましょう。
  • カルシウム:鉄と同じく、カルシウムも赤ちゃんへ優先的に運ばれる栄養素です。母体のカルシウムが減少した結果、お母さんの歯が虫歯になることがあります。妊娠中は普段以上に気をつけてカルシウムを摂取しましょう。
  • 食物繊維:妊娠中は赤ちゃんが育つにつれ、腸が圧迫され便秘になりがちです。便秘の予防には食物繊維の摂取と水分補給が必要です。食物繊維は野菜やきのこ、海藻類に豊富に含まれています。水分は、飲み物のほか、スープやみそ汁などの汁物からも上手に補給しましょう。
  • 葉酸:胎児の細胞分裂や成長を促します。妊娠前から初期に葉酸をしっかりとることにより、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすことができます。貧血予防にも欠かせないビタミンB群のひとつです。
食事の質をあげていく
食事の「量」は極端に増やせないので「質」をあげていきましょう。例えば、鉄が必要だからレバーを食べるといっても、妊娠中レバーのお料理をするのはイヤ、そもそも好きじゃないなどのケースもあると思います。そういった場合、レバーを食べやすくして、他の食材で鉄をとりいれる工夫をしてみましょう。例えば、やきとりのレバーを刻んでミートソースに入れると、食べやすくなります。レバーが苦手なら赤みの肉(牛肉)や魚(かつおやマグロ、ブリ、サバなど血合いのある魚)をとってみましょう。ひじきや切り干し大根、大豆、ほうれん草など青菜類も鉄が期待できる食品です。
つわりの時には何を食べればいいの?
つわりが辛く、ものを食べられないからといって、お腹の赤ちゃんの発育に大きく影響するわけではありません。のどごしがよいもの、冷たいものなら食べられる、というように個人差があるので、食べたいときに食べたいものを食べれば大丈夫です。すぐに食べられる小さなおにぎりやめん類など調理が簡単なメニューを試してみましょう。酢やレモンの酸味や、カレー粉、香辛料などの風味、薬味で食欲を増すのもよいでしょう。食べられない時でも、水やお茶、野菜ジュース、スポーツドリンクなど水分は少しずつでもとるようにしましょう。野菜スープもおすすめです。
妊娠中はバランスのよい食事を身につけるチャンス!
全ての元になるのは、「主食」「主菜」「副菜」の揃う食事。これを心がければ、細かい栄養計算などしなくても、バランスのよい食事になります。赤ちゃんが産まれたあとは、毎日の生活に追われて忙しく、時間もありません。離乳食や産後のお母さんの食事、ご主人の健康管理(メタボ予防)などにも役に立ちますので、この機会にバランスのよい食事の習慣を身につけましょう。

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