鶏胸肉・豚肉を柔らかくする調理方法と下ごしらえ

①調味液に漬け込んで水分を含ませる ②繊維・筋を断つ ③粉をまぶして水分を閉じ込める ④余熱で調理する の4点が肉を柔らかく仕上げる基本です。

①調味液に漬け込んで水分を含ませる

ヨーグルト・酒・酸味のある果汁・塩水(3%くらいの濃度)に漬け込んでおくことで肉の内部まで水分がしみこみ、ぱさつきがちな肉をしっとりさせることができます。鶏ささみ肉・鶏胸肉・豚ヒレ肉・牛ヒレ肉など脂身の少ない部位の肉の下味付けで使われる方法です。

調理例

タンドリーチキン(ヨーグルト)、ゆで鶏(塩水)、唐揚げ(塩分を含む調味液)、酢豚(塩分を含む調味液)、チンジャオロースー(塩分を含む調味液)

鶏の唐揚げ

酒・塩・醤油などの下味(塩分を含む調味液)をもみ込んだら、30分以上寝かせます。胸肉などパサつきやすい部位を使う時には特に重要なポイントになります。

②繊維・筋を断つ

筋肉の多い胸肉は加熱すると筋繊維が収縮し、硬くなりがちです。炒め物などに使う場合には、繊維を断つようにそぎ切りにする、またはあらかじめ筋の部分に切り込みを入れておく(筋切り)と、加熱したときの肉の縮みを抑え、硬くなるのを緩和することができます。

鶏肉のそぎ切り

指先をそろえて肉の端を押さえ、包丁を寝かせ、指の下にある肉をそぐように切ります。

豚ロース肉の筋切り

豚ロース肉など厚めの切り身は、フライやソテーする前に、赤身と脂身の境に4〜5ヶ所切り目を入れて、筋切りをしておきます。

包丁を立て、刃先を筋部分に刺すようにして切り込みを入れる

③粉をまぶして水分を閉じ込める

小麦粉や片栗粉をつけてから加熱することで水分が閉じ込められ、ぱさつきを防ぐことができます。

調理例

唐揚げ、治部煮、炒め物、酢豚、チンジャオロースー

④余熱で調理する

急激な温度変化は筋繊維の収縮や水分の蒸発を招きます。厚みのある肉を柔らかく仕上げるには、余熱調理が基本です。

鶏胸肉をゆでる時には、ほぼ火が通った頃に火を切り、あとは余熱にまかせ、肉が冷めるまで置いておくとしっとり仕上がります。

ステーキなどの厚めの肉をソテーする際にも、両面に焼き目をつけ、ある程度火が通ったら最後は余熱で火を通します。

監修:関岡弘美(料理研究家)