健やかに美しく人生を過ごすには、女性の体には欠かせない栄養素があります。飽食の時代とはいえ、不足している栄養素が意外と多いのも事実。「女性の人生に必要な栄養素」連載第4回は「葉酸」です。
「葉酸」という栄養素、聞いたことありますか?「妊娠中は葉酸をしっかり摂るように」という話を耳にしたことがあるかもしれません。実はこの葉酸、妊娠中というより妊娠前にも必要な栄養素なのです。
葉酸とはビタミンB群の一種で、新しい赤血球を作る役割をすることからビタミンB12 とともに「造血のビタミン」と呼ばれています。その他たんぱく質の合成にも関わっているため、不足すると口内炎や肌荒れ、疲れやすい状態になります。不足状態が続くと、赤芽球(育つ前の赤血球)が巨大な大きさになり、正常な赤血球ができないことが原因で起こる「巨赤芽球性貧血」に。通常バランスよく食事を摂っていれば不足することはまれですが、10代から20代の若年層に葉酸摂取量が少ない傾向にあります。
妊娠中に葉酸が必要な理由として、生まれてくる赤ちゃんの神経管閉塞障害(脳や脊椎がうまくくっつかない先天性の障害)のリスクを軽減することがあげられます。 もともと日本人は欧米人と比べて神経管閉塞障害の発症率があまり多くなかったため、そこまで注目されることがなかった葉酸ですが、食生活の欧米化とともに神経管閉塞障害症例数も増え始めたことで、平成12年(2000年)頃から日本でも妊娠中の葉酸の摂取の重要性が広く言われ、母子手帳にも葉酸の摂取について記載されるようになりました。特に胎児の脳や神経など重要な器官が出来上がるのが7週目頃までは葉酸を必要とします。ですが実際妊娠に気づく頃には7週目を過ぎている人が多いため、妊娠中の人だけではなく、妊娠を望んでいる人つまり妊活中の人は妊娠に備えて葉酸をきちんと摂取することが大切なのです。
葉酸はその名の通り緑黄色野菜を中心とする「葉もの野菜」に多く含まれる他、果物や動物性食品にも含まれています。
【野菜、豆類、果物類】
モロへイヤ、キャベツ、ほうれん草、菜の花、春菊、アスパラ、ブロッコリー、サニーレタス、サラダ菜、ルッコラ、オクラ、あしたば、あさつき、パセリ、にんにくの芽、大根の葉、しそ、ニラ、納豆、枝豆、そら豆、インゲン豆、アボカド、いちご、マンゴー、パパイヤ、みかん、グレープフルーツなど
【動物性食品類】
うなぎ、いくら、ほたて、ウニ、レバーなど
(ただしうなぎ、いくら、ウニ、レバーについてはビタミンAが多く含まれるので妊娠中の過剰摂取には注意が必要です)
葉酸は、水に溶け出す性質がある水溶性ビタミン。野菜は長時間水にさらしたりせず、さっと流水で水洗いをしましょう。また加熱によっても壊れやすい性質のため長時間加熱を避けましょう。スープなど溶け出した水分を一緒に摂れる調理法を選んで。
水溶性ビタミンである葉酸はまとめて沢山摂っても、余った分は尿と一緒に排泄されてしまい、体内に溜め込むことはできません。ですから毎日こまめに摂取してくださいね。