【一年中安定発酵】冷蔵発酵のポイント

【一年中安定発酵】冷蔵発酵のポイントの画像

Description

冷蔵発酵パンの一次発酵で、うまく膨らまなくて困った時用。出来るだけ細かくコツをまとめた。気付いた事があれば随時改訂。

材料

好みの捏ねないパン生地
湯種リッチパン生地
フランスパン生地
発酵容器
透明なタッパー(200gの生地)
容量900~1000ml
透明なタッパー(300g以上の生地)
容量1500~2000ml

作り方

  1. 1

    ■タッパーについて
    底が透明で、発酵具合が確認しやすい物を使う。適度に深いと更に良い。条件を満たせばボウルもOK。

  2. 2

    ■冷蔵庫の温度 
    低すぎないか心配なら、事前に室温用の温度計を冷蔵室に入れて検証する。5~10度の範囲なら大丈夫。

  3. 3

    写真

    ■生地について
    どちらも加水率は70%以上で、水分が多い生地。イーストは一般的なレシピの半分の量。

  4. 4

    生地の水や牛乳は、室温で推奨温度が異なる。28度以上は水なら加熱不要、20度未満は40度など。夏以外は35~40度。

  5. 5

    ※冷蔵庫から出したての牛乳は夏でも冷たすぎるので、加熱は30度以下までと思えばOK。15度以下の水を嫌うイーストもいる。

  6. 6

    ■温度管理について
    冷蔵発酵で安定して一次発酵するためには、発酵を順調にする準備が必要。その一つが室温や生地温度の確認。

  7. 7

    写真

    写真は、材料を混ぜて休ませを繰り返し、表面が滑らかになった生地。この時、生地が冷たくないかがとても大事。

  8. 8

    多くのパンの捏ね上げ温度が含まれる24~28度より低く、触って冷たい場合、すぐに冷蔵庫に入れるとうまく発酵しない。

  9. 9

    写真

    そこで冷蔵発酵させる前に、室温や発酵機能30度で発酵させる。ここで生地を一回り膨らませると、その後の冷蔵発酵が安定する。

  10. 10

    写真

    ちなみに一回り膨らんだ後に丸め直すと、丸め直さない時と比べて少し生地に張りが出る。丸め直し後はすぐに冷蔵庫行きでOK。

  11. 11

    膨らんだ生地が力不足でだれた時は、これで生地を強化してフォロー可能。ちょっと生地表面の滑らかさが足りない時にも使える。

  12. 12

    ■冷蔵庫に入れる前の発酵時間の目安(基本)
    春秋冬→30度20~30分
    夏→室温20分~

  13. 13

    ■冷蔵庫に入れる前の発酵時間の目安(湯種)
    春秋冬→30度30分
    夏→室温20分~

  14. 14

    写真

    湯種パンのみ時間の目安が異なる理由は、自分の湯種パンは、発酵がやや遅いため。これに限らず、時間がかかる生地は長めが安心。

  15. 15

    写真

    ☆夏場の見極め
    夏場は室温が高いため、生地が完成する前に発酵が始まってしまう事が多い。丸めたて生地の表面に気泡が見える。

  16. 16

    油脂を入れる生地なら、油脂を混ぜた後に生地休ませる頃、休ませる前より一回り大きくなる事もある。目で見て明らかに膨らむ。

  17. 17

    写真

    10の状態で底から見たところ。表面に気泡が目立ってくると、底面も気泡が出来てくる。

  18. 18

    湯種以外は、室温に置いて生地が少し膨らむのを目で確認したら、すぐに冷蔵庫に入れても平気な位。湯種の場合は様子見が無難。

  19. 19

    写真

    ■冷蔵発酵後に膨らまなかった時
    生地が2倍にならなかった時は、まず35~40度で30分以上追加発酵する。

  20. 20

    冷蔵発酵後の生地は7〜8度。まず生地の温度を上げないと発酵が進まないので、1時間以上のタイムロスになる事もある。

  21. 21

    こうなると大変なので、少しでも不安なら冷蔵庫に入れる前の発酵時間を長くする。目安時間で足りなければ30度10分ずつ追加。

  22. 22

    写真

    ■冷蔵発酵前に発酵し過ぎた時
    生地が大きく膨らむまで放置した場合は、ガス抜きして丸め直してから冷蔵庫に入れる。

  23. 23

    写真

    こちらは夏に2倍になるまで室温で1時間以上発酵させ、一度ガス抜きしてから冷蔵発酵したパン。生地はきめ細かく、おいしい。

  24. 24

    うっかりミスでここまで長く発酵する事は滅多にないと思うが、失敗にはならない参考例として掲載。食パンなら普通に行う。

  25. 25

    写真

    ■寒い時期の保温
    室温20度未満の時は、冷蔵庫に入れる前の発酵だけではなく、生地を休ませる時や翌日のベンチタイムも保温。

  26. 26

    理由は、捏ねない生地の場合、手や機械で捏ねない分、温度が下がりやすいため。冬はぬるい湯や牛乳を入れてもすぐに冷たくなる。

  27. 27

    具体的には、室温18度以下の部屋では、40度の水や牛乳で仕込んでも、冷蔵庫に入れる頃には24度未満というのも普通。

  28. 28

    そのため保温を忘れると、冷蔵庫に入れる前に30度で発酵する時にも膨らみが悪くなる。

  29. 29

    冷蔵発酵前の発酵をする時に生地温度が低ければ、35~40度で30分発酵すると、少し生地温度が上がる。

  30. 30

    特に生地が20度程度とかなり低い時は、大体膨らみも足りないと思う。しっかり膨らむまで、発酵を10分ずつ延長して様子見。

  31. 31

    写真

    ベンチタイム
    冷蔵庫から出したての冷たい生地の温度を上げるために、30度で生地を休ませる。

  32. 32

    ちなみに、冷蔵発酵した生地を成形する際の推奨温度は、16~20度。自分のレシピでは食パンなどの大型パンで意識している。

  33. 33

    16度の参考はこちら
    http://sizuasa.blog44.fc2.com/blog-entry-341.html

  34. 34

    写真

    生地の温度を上げる時、大型パンはベンチタイムで生地を平らにすると温度上昇が早い。冬は35~40度25~30分に設定。

  35. 35

    大きく膨らむパンの場合、生地が冷たいと発酵も遅くなって面倒。その辺がシビアな食パンは、ベンチと別に復温の時間を取る。

  36. 36

    ■発酵後の温度変化
    冷蔵終了:7.8~8.8度
    30度20分ベンチ後:15.3~8度
    30度30分ベンチ後:17.6度

  37. 37

    ■オーブン庫内+湯の保温
    室温24度:庫内26~27度。

  38. 38

    写真

    ■暑い時期の保冷
    室温28度以上の時は、生地を休ませる間に生地が29度以上になりやすい。

  39. 39

    生地温度の目安が低めのハードパンは特に、材料を混ぜた後か、イースト&塩を混ぜた後位まで氷や保冷剤入りボウルを重ねて保冷。

  40. 40

    冷やし過ぎると今度は発酵が悪くなるので、保冷剤は途中で外す。冷蔵庫に入れる直前の発酵時に生地が28度を超えなければいい。

  41. 41

    材料の水温を下げる時の限度だが、イーストを別の水で溶かさない場合でも18~20度なら発酵に支障がないようだ。

  42. 42

    先に大さじ1~2程度のぬるま湯でイーストを溶き、それから残りの冷やした水と一緒に粉に入れる場合も、特に問題はなかった。

  43. 43

    写真

    ■ドライイーストの混ぜ方
    ゴムベラですりつけるように、しっかり粒をすり潰す。粒がまんべんなく潰れてから全体に混ぜる。

  44. 44

    写真

    混ぜる時に残っても焼く頃には消滅するが、発酵にむらが出ないとは言い切れないので、粒は最初にすり潰しておくといいと思う。

  45. 45

    ■厳密な温度管理をする場合
    気温が極端な時期は、水や牛乳の温度調整だけだと生地の温度調整には限界がある。

  46. 46

    他の材料の温度調整も必要になる。特に量が多い小麦粉(室温とほぼ同じ)は、冷蔵庫や湯煎での温度調整が有効らしい。

  47. 47

    具の温度も当然影響する。例えばチーズを冷蔵庫から出してすぐ混ぜると、結構生地が冷える。夏場は有効利用できそう。

  48. 48

    もちろん生地が冷えやすい冬場に冷やすと困るので、混ぜる直前に具の用意をせず、時間に余裕を持つ配慮をする。

  49. 49

    写真

    ■12時間以上冷蔵庫の場合 
    半日以上、特に18時間以上の冷蔵発酵は、途中で膨らんだ生地を一回ガス抜きしてしまい直す。

  50. 50

    膨らんだ生地を放っておくと、アルコール臭がきつくなりすぎたりする。夜に仕込んだ生地を、午前と午後に分けて焼く時は注意。

  51. 51

    室温7~12度限定の荒業
    捏ね上げ温度が低くなり、十分発酵時間も取れない時。そのまま部屋に翌日まで放置する事も可能。

  52. 52

    要は冷蔵室だと発酵が進まないと分かっているので、やや暖かい野菜室を選ぶ感覚。避けたい事態だが、やむを得ない時の博打。

  53. 53

    それでも、何とかなりそうなのは小型パン位だと思う。あるいは一次発酵で大して膨らませないクロワッサン系。食パンはだめそう。

コツ・ポイント

生地の表面や、容器と接する底面の気泡の状態をきちんと観察する。その日の気温に応じて、発酵時間や発酵場所の温度も選べば、特に発酵しない失敗は防げる。膨らみのペースや勢いは、基本的に気温が25度を超えると元気に見える。

このレシピの生い立ち

季節ごとの冷蔵発酵を安定させる、自分なりの方法を確立。それを元にレシピの見直しや書き換えを進めたが、全部載せると手順が増えて修正時も大変。そのため、独立したレシピとして作成した。
21/7/6:暑い時期の保冷について加筆。
レシピID : 5559985 公開日 : 19/03/21 更新日 : 23/07/06

つくれぽ みんなのつくりましたフォトレポート

2 (2人)
写真
おかって菜園
自家小麦なので色が白くないですが、冷蔵長時間発酵パンにとても合う気がします。詳しくわかりやす説明参考にしてます!
初れぽ
写真
あきづきゆずりは
冷蔵発酵での疑問や困っていたことが解決しました。すごく感謝です!