牛ヒレローストビーフいつ焼く?比較実験
Description
材料
作り方
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BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
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日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、
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本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
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最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
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実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。
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<比較実験背景>
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「牛ももローストビーフ いつ焼くべきか?比較実験(ID:6738250)」の続編。
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肉をオーブンでローストすると、肉の表面がカリッと褐色になり(=メイラード反応)肉に香ばしさを与え複雑な香りが生まれるが、
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レシピでは、低温調理前に肉の表面を焼いたり、調理後に肉を焼いたりしていた。そうすることで、肉に香ばしさを与えていた。
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では肉の表面を焼くのは低温調理「前」が良いのか?「後」が良いのか?
先の実験は“牛もも”を低温調理する場合、
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いつ焼けば一番美味しい状態に仕上がるのかを比較したものである。
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その結果、意外にも「焼かない」方が香ばしさの点では「低温調理前か後に焼いたもの」に劣るものの、
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断トツに柔らかく仕上がり一番美味しく感じたのである。
これは元々「牛もも」が脂が少なく硬い肉質なので、
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美味しいポイントとして「柔らかさ」が優先されたのかもしれない。
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そこで今回は元々柔らかい「牛ヒレ」を使えばどれも柔らかく仕上がるのでまた結果が変わるかもしれないと考え、比較実験を行う。
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「牛ヒレ」ではいつ焼けば良いのか?焼かない方が柔らかく仕上がるのか?
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そこでオーストラリア産牛ヒレ(厚さ2cm)を使い、
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実験①:低温調理「前」に表面を焼く(表面焼く → BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる)
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実験②:低温調理「後」に表面をフライパンで焼く(BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる → 表面焼く)
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実験③:低温調理「後」に表面をバーナーで焼く(BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる → 表面焼く)
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実験④:焼かない(BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる)
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低温調理「前」に肉の表面を焼くことで、調理中のドリップの流出を抑えて旨みを閉じ込めることができるのか?
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仕上がりの香ばしさが半減しないか?
低温調理「後」に焼くと、パリッと香ばしくなるのを期待する反面、
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内部の温度が上昇してしまうのか?バーナーで焼くのはどうか?
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実験①②③の「焼く」ものと比べて④「焼かない」ものは香ばしさや柔らかさの点でどれくらい違うのか?
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実験③の「バーナーで焼く」については、「65℃ 鶏ももステーキ 皮の焼き方比較実験」(ID:6088796)で
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鶏ももをバーナーで炙ったところ、鶏皮がものすごく苦くなってしまって完全にNGであった。では牛ヒレではどうなるのか?
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塩を入れるタイミングはすべて低温調理後にバッグに塩を入れて肉に含ませることとする。
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(「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較(ID:5173129)」参照。
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「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。)
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<比較実験>
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すべて同じ大きさ、厚さに整えた牛ヒレ肉をそれぞれの工程で調理する。
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実験①:低温調理「前」に表面を焼く(表面焼く→BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)
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実験②:低温調理「後」に表面をフライパンで焼く(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→表面焼く)
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実験③:低温調理「後」に表面をバーナーで焼く(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→表面焼く)
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実験④:焼かない(BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる)
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BONIQは57℃ 2時間35分行う。
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(参照:加熱時間基準表(https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf ))
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BONIQの終了タイマーが鳴ったらそれぞれバッグを開けて塩を入れ、肉に含ませ冷却する。
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その後50℃まで温め、比較試食を行う。
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<比較実験結果>
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実験①:低温調理「前」に表面を焼く
実験②:低温調理「後」に表面をフライパンで焼く
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実験③:低温調理「後」に表面をバーナーで焼く
実験④:焼かない
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全て50℃の湯せんで温めたところで、まずドリップの量を比べてみる。②③④は全てまだ焼いておらず同じ状態なので、
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同じ量となるのは当たり前であるが、それに比べ①はドリップが少ない。
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「牛ももローストビーフ いつ焼くべきか?比較実験(ID:6738250)」の時もそうであったが、
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やはり低温調理「前」に肉の表面を焼き固めると、ドリップの流出が少なくなるようだ。①が一番ジューシーなのではと期待できる。
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見た目については低温調理「後」にフライパンで焼いた②が、一番ステーキらしくテリテリしていて美味しそうである。
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また芯温は50℃→約52℃と、内部に火が入りすぎることはなかったのに対し、③バーナーで焼いたものは50℃→61.5℃と
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内部が加熱されてしまった。2cm程度の厚みの肉を直火で炙ると、かなり短時間で芯温が上がってしまうということが分かった。
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ではこれらのヒレ肉をスライスして実食に移る。
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①も香ばしい香りがするが、②フライパンと③バーナーは仕上げ時に焼いている分、もっとフレッシュで香ばしい香りがする。
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柔らかさの点では“牛もも”の実験の時とは違い、どれもかなり柔らかい。牛ももでは「焼かないもの」が一番柔らかく仕上がったが
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今回は元々柔らかい肉質の“牛ヒレ”ということで、どれも間違いなく柔らかい。
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焼いたからといって硬くなってしまうことはなかった。
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③バーナーでさえ、炙った時に61℃以上に芯温が上がってしまったにもかかわらず、ステーキとしてはかなり柔らかいと言える。
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②と違って③はやや香ばしさの中に苦味があるが、「65℃ 鶏ももステーキ 皮の焼き方比較実験(ID:6088796)」で
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鶏皮をバーナーで焼いた時のような嫌な苦味ではなく、炭火焼き肉のような“美味しい苦味”である。
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ここで驚いたのはなんと、①が②③④と比べて旨みが強いではないか?
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個体差かと疑ったが、今回用意した牛ヒレは2枚の切り身を半分にして4枚を切り出したものであり、①が元々美味しい個体であった
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とすればその片割れも旨みが強いものになるはずであるが、①だけが確かに他よりも旨みが強く感じられた。
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ドリップの味を見てみると、②③④はやや尖った塩分が感じられるのに対し、①だけ丸みを帯びた旨みが感じられる。
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確かに塊肉の表面を強火でしっかり焼いて旨みを閉じ込める下処理は、「リソレ」と言ってフランス料理の中で最も
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重要な技法の一つであるのだが、低温調理をする上でも大事であることが証明された。
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(牛ももの実験時は「前」に焼いたものは硬さが気になったので、旨みが強くなったとはあまり感じなかった。)
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④は柔らかくて美味しいには美味しいが、香ばしさがないので何かふぬけた感じになってしまった。
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項目ごとに評価すると・・
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①前焼き
②後フライパン
③後バーナー
④焼かない
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見た目
②>③>①>④
香ばしさ
②≒③>①>④
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柔らかさ
④>①≒②>③
ジューシーさ
①>②≒③≒④
旨み
①>②≒③≒④
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総合的な美味しさ
①>②≒③>④
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「牛ヒレ」では①低温調理「前」に表面を焼くのが一番良いと思う。②は見た目も一番美味しそうで捨てがたいし、
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③はもっと大きい塊肉で炙り過ぎないように気を付ければ、芯温が上がり過ぎることなく、BBQやパーティーなどでテンションの
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上がるパフォーマンスができる。
ただ、じっくり牛ヒレを味わいたいのであれば①の美味しさを知ってしまった以上、
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「前」に焼くのが正解だろう。
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「牛もも」とは全く逆の結果であるが、④焼かないはナシと言える。
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《作った感想》
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この「肉は低温調理前に焼くか後に焼くか?」は「鶏が先か卵が先か」くらい、これまでも悩ましい問題でしたが、
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やっと光が見えてきました。
「牛ヒレ」は先に焼く!
塊肉の表面を強火でしっかり焼いて旨みを閉じ込める下処理は、
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「リソレ」と言ってフランス料理の中で最も重要な技法の一つなのですが、低温調理をする上でも大事であるということです。
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先人の知恵に感服すると共に、基本に立ち返ることを思い出させてくれました。
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コツ・ポイント
このレシピの生い立ち
次の実験を構想中です。