初心者のためのパン作りの基本

パン作りの基本的な材料・道具・作業の流れ・コツを把握しておくことで、初めてのパン作りでの失敗が防ぐことができます。

基本の材料

【強力粉・イースト・砂糖・塩・水・牛乳・スキムミルクなどの乳製品・卵・バターなどの油脂類】以上がパンの基本となる材料です。

注意が必要な材料

イースト

パン生地を発酵させ、ふくらませるのに必要不可欠な材料です。古くなってしまうと発酵力が落ちるため、開封後は必ず密閉して冷蔵庫で保存し、早めに使い切ります。

パンの味わいを引き出し、生地のコシを強くする役割がありますが、イーストに直接塩が触れると発酵しにくくなります。材料を合わせるときには必ずイーストと離して置きます。

水分が多いほど生地がべたつきますが、焼き上がりはやわらかな食感になります。イーストが活動しやすい30〜40℃に温めてから加えます。

硬度の高いミネラルウォーター・硬度の低すぎる軟水・アルカリイオン水はパン作りに向かないため、使用を避けます。日本の水道水はパン作りに支障ありません。

必要な道具

ボウル、はかり(最小単位が1gのデジタルタイプがおすすめ)、ふきん、クッキングシート、鍋つかみ(2枚重ねにした軍手でも代用可)、ケーキクーラーか網

基本的なパン作りの工程

【①材料の計量 → ②生地をこねる → ③一次発酵させる → ④分割・ベンチタイム → ⑤成形する → ⑥二次発酵させる → ⑦焼く】以上が基本の工程です。

①計量する

レシピの分量は、パンの特徴に合った配合になっているため、正確に量ります。水を温める、バターを室温に戻すなど、材料の温度調節も大事なポイントです。

②こねる

ある程度ボウルの中で混ぜたら、台の上に出してこねます。生地の状態の変化に合わせて段階的にこね方を変えます。

ボウルの中で材料を合わせる

材料を合わせた直後

粉類に水分が行き渡ったばかりでべたついているため、台にこすりつけては手前に戻すようにして生地をまとめます。

生地が台からはがれるようになってきたら

台に弱めにたたきつけては90℃向きを変えるという作業を繰り返します。さらに生地離れがよくなります。

生地に弾力がでてきたら

力を入れて強くたたきつけるようにしてこねます。

こね終わりの目安

生地を指で薄く伸ばした時に、透けるくらいの膜になればこね終わりです。

③一次発酵させる

こねあがった生地は丸くまとめ、ボウルに戻してから暖かい場所で発酵させます。もとの大きさの2倍くらいにふくらむのが目安です。人差し指に強力粉を軽くつけ、ふくらんだ生地の真ん中にさし、指を抜いても穴が残れば発酵完了です。

発酵に適した環境

発酵がよく進む温度は30℃〜40℃です。室温が高い時はそのまま室温で発酵させることができます。室温が低いときにはオーブンレンジの発酵機能などを利用します。

発酵温度が45℃を超えると発酵が妨げられるため、直射日光を避けるなどして高温になりすぎないようにします。

乾燥させない

生地が乾燥するとふくらみが悪くなり、生地がかたくなるので、生地が入ったボウルをラップで覆い、表面が乾燥しないように注意します。

発酵完了の目安

生地がおよそ2倍に膨らんでいるのを目安にすると同時に、指を入れたときの状態で発酵の完了を確認します。指であけた穴が閉じていくようであれば発酵不足、若干小さくなりつつも、穴が保たれていれば発酵完了です。環境にもよりますが、発酵にかかる時間は1時間を目安にします。

生地がしぼんだり、大きな気泡が生地表面にできているのは発酵しすぎた状態です。発酵しすぎてしまったものは戻せないため、発酵中は生地の様子をこまめに確認します。

④分割・ベンチタイム

発酵した生地を台の上に取り出し、手のひらで押して生地の中の余分なガスを抜きます。包丁またはスケッパーで均等な大きさに分割し、丸めたら、生地をひと休みさせます。

⑤成形する

麺棒でのばす、手でのばして巻くなど、作るパンの種類に合った形に成形します。

⑥二次発酵させる

成形した生地を再度発酵させます。2倍の大きさにふくらんだくらいが発酵完了の目安です。発酵にかかる時間は約1時間です。

⑦焼く

予熱したオーブンで焼きます。オーブンによって焼きむらが出ることもあるため、レシピにある時間の8割くらいの時間で一度焼き色を確認します。必要に応じて天板の前後を入れ替えたり、温度を上げたりして調整します。

パンがうまくふくらまない原因

パン作りは工程も多く、様々な要因によってパンのふくらみが悪くなるため、初回で成功するとは限りません。もしパンがうまくふくらまなかったら以下のポイントを確認し、次に活かします。

こね方が足りない

生地をこねるのは、生地の中のグルテン(パン生地の粘りや弾力のもと)を強化し、ふっくらさせるためです。これを十分に行わないとふくらみが悪くなります。生地を指で薄く伸ばしたときに、透けるくらいの膜ができる弾力になるまでこねます。

イーストの不活

イーストが古かったり保存状況が良くなかった場合には、うまく活動せずふくらみが悪くなることがあります。また、材料を合わせるときにイーストと塩が触れていることも不活の原因になります。

生地の扱いに問題

生地の成形時に触りすぎてつぶしてしまった、時間をかけすぎて生地が乾燥した、などもうまくふくらまない原因になります。