骨まで柔らかくなる?さんま 比較実験
Description
材料
作り方
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日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?
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もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が
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増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。
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低温調理で魚の骨まで柔らかくすることができるのか?
以前、あるお店の名物メニューで3日間かけてつくる“骨まで食べられる
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さばの味噌煮”のことを知った。そんな素敵な料理は聞いただけでワクワクするが、それならば長時間調理を簡単にできるBONIQ
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なら実現出来るかもしれないと考え、これまで何度となく骨まで食べられる煮魚(小魚やししゃも以外で)を目指してきた。
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「85℃ 骨まで柔らかくなる?いわし 比較実験(ID:5621987)」ではBONIQ設定85℃で最長8時間で
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やってみたが(イワシは約22㎝の大振りものを使用)、全く骨まで食べられるようにはならなかった。
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サバを使って87℃で24時間でもやってみたが、こちらもとてもじゃないが骨までは食べられなかった。
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いろいろと調べていると、出版されているある低温調理のレシピ本に「骨まで食べられるサンマ」のレシピを見つけた。
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そこには77℃で4時間で調理するというもの。そんなに低温でしかも4時間でできるのか?イワシやサバの骨は太すぎたが、
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サンマでは可能なのか!?魚が違えど骨の成分はさほど大きな違いはないはずとは思ったが、なにか突破口になるかもしれないと
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期待をいだきながら試してみた。
早速本の通り行ってみたところ、やはり骨まで食べられるレベルには全くならなかった。
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それならと倍の時間で77℃8時間でやってみたが、4時間よりはやや骨が柔らかくなったものの飲み込むには危険なレベルの硬さ
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であり、とても骨が食べられるものではなかった。
例えばイワシであれば大小さまざまなサイズがあるが、一般的に販売されている
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サンマのサイズはそこまで変わらない。やはり本に載っていた温度と時間では、骨まで柔らかくするのは不可能だと思われる。
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ちなみに「骨が食べられる」というのは、口内に骨がチクチク当たったりしない、骨を飲み込んでも危険でない柔らかさ、
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“鯖缶”のように完全に骨が柔らかく、小さな子供にも食べさせられるレベルのことを言うと私は考えている。
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魚の骨は主にリン酸カルシウムとそれを接着しているコラーゲンで構成されておりコラーゲンを分解すると骨が柔らかくなるという。
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このコラーゲンを柔らかくするには「加熱」もしくは「酸に漬ける」の方法があるとされる。
「酸に漬けて調理する」方法は
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別で行うとして、今回は「加熱」のみで骨まで柔らかくしたい。
理論上は加熱は75~80℃で数時間行えばコラーゲンは
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ゼラチン化し、加熱を続けると骨まで食べられるようになるとされる。
しかし実際、上に書いたように85℃で8時間、
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87℃で24時間でもイワシやサバの骨は柔らかくならなかった。
圧力鍋なら魚の骨まで食べられる水煮や煮魚などが出来るが、
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コンフィのように油で煮るような料理は圧力鍋で行うには危険とされている。(圧力鍋を使ってコンフィを作るレシピも見かけるが、
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油を多く使う料理は事故につながると鍋の説明書には書かれている。)
ただ圧力鍋は骨を柔らかく出来ることには違いない。
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つまり、先述の実験でやったような77℃~87℃などではなく、圧力鍋のようにとは行かないがBONIQを使い、
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もっと高温で行えば骨まで柔らかくなるのではないか。圧力鍋は2気圧で約120℃になるということなので、低温調理で出来る
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一番上限の95℃で行えば近づけるのではと考えた。
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そこでさんまに振り塩をした後、オリーブオイルと共に
BONIQ95℃で
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①3時間
②4時間
③5時間
④6時間
⑤7時間
⑥8時間
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油で煮た“コンフィ”のように低温調理を行った。
はたしてサンマは骨まで柔らかくなるのか?
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取り出して流水で洗い、水気をペーパーで拭く。
サンマ重量の0.6%の塩とエクストラバージンオリーブオイルを
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フリーザーバッグに入れ、4等分にカットしたサンマを加える。
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BONIQの湯せんに浸けながら空気を抜いて密封し、それぞれの時間で低温調理(95℃)を行う。
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それぞれ終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出し、冷水につけて冷却する。
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フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0
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<比較実験結果>
結果は・・・
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「①3時間」は頑張って骨をかみ砕けば食べられるかもしれないが、口内に骨がチクチク当たって残る。
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充分噛まなければ喉に刺さって危険である。
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「②4時間」頑張って骨をかみ砕けば食べられるかもしれないが、③よりはマシなものの、まだ口内に骨がチクチク残る。
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充分噛まなければ喉に刺さって危険である。
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「③5時間」は④に比べ柔らかくなっているが、まだ口内に骨がチクチク残る。充分噛まなければ喉に刺さって危険である。
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「④6時間」ほとんどの骨は柔らかくなっているが、一部の鋭い骨がやや残る。大人が噛み砕けば食べられるが、
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小さな子供には食べさせられないレベルである。
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「⑤7時間」全ての骨がホロホロと崩れ、全く口に当たらない。小さな子供にも食べさせられる。
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「⑥8時間」全ての骨がホロホロと崩れる。⑤とほとんど変わらないが、若干ではあるが水分が抜けて身が締まった感じがする。
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つまり、
「①3時間」~「④6時間」→ 骨まで食べられない、不十分
「⑤7時間」「⑥8時間」→ 充分骨まで食べられる
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⑤⑥どちらも骨がホロホロでサンマの風味が凝縮していてとても美味しいが、
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「⑥8時間」の方がやや水分が抜けているように感じたので、「⑤7時間」がベストだと感じた。
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ちなみに圧力鍋で水煮をやってみた。圧力鍋は油を多く使った調理は危険で出来ないのでコンフィにはできず、
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サンマに振り塩をしてから水煮にした。BONIQの方と味に差が出ないよう、水煮にした後、
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エクストラバージンオリーブオイルをかけて試食をした。
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こちらはさすが短時間で骨まで柔らかくなった。しかしBONIQで行った“サンマのコンフィ”との違いは、
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やや臭みが出たことが挙げられる。身に水分を多く含むので身がとても柔らかいが、やや水ぶくれしているとも言える。
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水煮なので当たり前といえば当たり前なのかもしれない。コンフィはできないが、調味料やしょうがを入れた煮つけを作るには、
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圧力鍋は短時間でできて便利だと思う。
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コツ・ポイント
今回95℃ 7時間でサンマの骨がホロホロ、旨みがぎゅっと詰まったコンフィができました。
このレシピの生い立ち
もっと骨が太いサバでも可能なのか?”骨まで食べられるさばの味噌煮“を目指して、研究を続けたいと思います。