サクサクの天ぷらを作る基本

①天ぷら衣をしっかり冷やしておく ②少量ずつ揚げる ③素材によって揚げる時間や温度を調節する の3点がサクサクの天ぷらを作る基本です。

天ぷら衣をしっかり冷やしておく

天ぷらは、天ぷら衣を冷やしておくことでカラッと揚がります。水は冷水か氷水、卵は冷蔵庫から出したてのもの、粉も冷蔵庫で冷やしたものを使って作ります。食材の下ごしらえを終え、油を加熱し始めたタイミングで作り始めます。

天ぷら衣の作り方 材料(約4人分):薄力粉 2カップ・冷水(氷水)360ml・卵 1個

①ボウルに卵を割りほぐし、冷水を加えて泡立て器で混ぜ合わせる。

②薄力粉をふるいいれ、菜箸でざっくりとだまが残る程度に合わせる。ぐるぐるとかき混ぜるのではなく、軽くたたくように混ぜるとねばりが出ません。

ねばりが出ないよう、だまが残っている程度で止める

揚げていくうちに衣が少しずつ重くなってくるため、たくさんの天ぷらを作る場合には冷水と卵を溶き混ぜたものを2〜3のボウルに分けておき、その都度薄力粉と合わせるほうが、常によい状態の衣を使うことができます。揚げている最中には、天ぷら衣の入ったボウルが温まってしまわないよう、鍋の近くに置かないようにします。

衣がうまく食材に絡まないときは

卵液と薄力粉がうまく混ざっていない可能性があるため、もう一度衣を作り直します。ねばりは多少出てしまいますが、以下の手順で衣を作ると失敗が少ないです。

①卵液に薄力粉の半量をふるいいれ、だまが残らないくらいまで泡立て器で混ぜきる。

②残り半量の薄力粉をふるい入れたら数回だけさっと混ぜ合わせる。

少量ずつ揚げる

一度にたくさんの食材を揚げると、油の温度が一気に下がり、べちゃっとした衣になってしまいます。油の温度を下げないよう、少量ずつ揚げることで、ぱりっとした衣の天ぷらに仕上がります。

鍋の表面積の2/3くらいまでを目安に

天かすの処理について

揚げているときにできた天かすは、食材が揚がったらその都度網じゃくしなどですくって取り除きます。天かすを残したまま揚げ物を続けると、油が早く汚れてしまいます。

素材によって揚げる時間や温度を調節する

下ごしらえをした素材は水気をよくふき取り、衣をつけたらすぐに揚げます。根菜は160〜170℃(衣を落とした時に中ほどまで沈み、すぐ浮き上がる)でじっくり、火の通りやすい野菜・魚介は180℃(衣を落とすとすぐに浮き上がって全体に広がる)で揚げます。

参考:「揚げ油の温度の見方」「揚げ物をする時の揚げ油の量」

基本の揚げ方

食材を天ぷら衣にくぐらせ、熱した油に入れます。揚げ始めは箸でいじらず、材料が浮かび上がってきたところで、全体に揚げ色がつくように返します。泡が小さくなり衣がカラリとしてきたら取り出し、網がついたバットなどに置いて十分油を切ります(目安は1分以上)。このとき、天ぷら同士が重ならないように注意します。

すぐに揚がるもの・アクの少ないものから揚げていくと油が汚れにくいため、最後まできれいな油で調理ができます。アクの出やすいなすや、時間のかかる根菜類は後にまわし、短時間であがる野菜、魚介類から先に揚げ始めます。

揚げる順番の例 青じそ(大葉) → ししとう → しいたけ・まいたけ → なす → えび → いか → きす → わかさぎなど内臓のついた小魚 → かきあげ → さつまいも・かぼちゃ

青じそ(大葉)

冷水につけて葉をシャキッとさせたら水気をふきとり、葉の裏側にだけうすく衣をつけ、180℃で揚げます。衣がカリッとかたまったらすぐに取り出します。揚げ時間は約20秒です。

水気をふきとり、葉の裏側にだけうすく衣をつける

ししとう

軸を落とし、側面に竹串で穴を開けるか縦に小さく切り目を入れ(油はね防止)、衣にくぐらせて180℃で揚げます。衣がカリッとしてかたまったら取り出します。揚げ時間は約30秒です。

軸を落とし、竹串で穴を開けておく

しいたけ

軸をとり、全体をてんぷら衣にくぐらせたら180℃で揚げます。揚げ時間は約1分です。

軸を落とす

まいたけ

大きめに割いたまいたけを衣にくぐらせたら180℃でカラリとするまで揚げます。揚げ時間の目安は1分です。

大きめに割く

なす

へたを落として、縦に4つ割にします。上部を2cm程度残し、それぞれ2~3本切込みを入れ扇の形にします(水にさらさない)。衣にくぐらせ、180℃で揚げます。揚げ時間の目安は1分です。

扇状にしておくことで、火が入りやすくなる

えび

下ごしらえ

背わたを取り、尾の1節を残して殻をむきます。尾の先を斜めに切り落とします(油はね防止)。揚げたときに丸まらないよう、腹側に4〜5本浅い切り目を入れ、背側に反らし、筋を切っておきます。

えびは油はねを防ぐ、まっすぐ揚げるための下ごしらえが必要

揚げ方

殻をむいた部分をてんぷら衣にくぐらせ、180℃で揚げます。泡が小さくなってきたら取り出します。揚げ時間の目安は30秒〜1分です。

※ボウルのふちで衣を軽く切るようにしてから油に入れると、衣の厚さがちょうどよくなります。

衣を厚く豪華にしたいときは

天丼やそばの上に乗せるなどで衣を厚めにつけたいときは、揚げ始めて少しして浮き上がってくるところに、菜箸で散らすように衣を落とし、えびにまとわせます。

いか

下ごしらえ

薄皮をむき、胴は斜めに5mm幅の切り目を入れてから好みの大きさに切り、足は2、3本ずつに切り分けます。いかの表面に切り込みを入れておくことで油はねを防止でき、食感も柔らかくなります。

左:胴は薄皮をむき5mm幅の切り目を入れる 右:足は2〜3本ずつに切り分ける

揚げ方

てんぷら衣にくぐらせ、180℃で揚げます。泡が小さくなってきたら取り出します。揚げ時間は約1分です。

きす

ペーパータオルで水気をふいたら尾を持って天ぷら衣にくぐらせます。鍋の奥の方から手前に倒すように180℃の油に入れ、浮き上がってきたら一度返し、カリッとするまで揚げて取り出します。揚げ時間の目安は1分です。

わかさぎなどの小魚

(わかさぎの場合)塩水で洗い、ざるにあげ、水気をふきとります。内臓部分が破裂しないようにおなかにだけ薄く小麦粉をつけ、天ぷら衣にくぐらせたら180℃の油で揚げます。泡が細かくなって衣がカリッとしたら取り出します。揚げ時間は約1分です。

かきあげ

三つ葉、にんじん、たまねぎなど、好みの具を合わせてボールに入れ、天ぷら衣を加えて軽く混ぜます。180℃に熱した油に、鍋の縁近くから滑り込ませるように入れます。まわりの衣が固まりかけてきたら中央に穴をあけるように箸で突き、中にも火が通るようにしてから裏返します。泡が小さくなり、両面が色づいたら取り上げます。揚げ時間の目安は1分〜2分です。

左:おたまなどを使い滑り込ませるように油に入れる 右:中央を箸で突き、中まで火を通す

具材がばらけてまとまらないときは

衣の濃度が足りないか、揚げ方に問題がある可能性があります。

①衣の濃度が足りない かき揚げの具材の水分をしっかり切り、衣の薄力粉の割合を少し上げます。

②ばらけないように揚げる ヘラやおたまに乗せたまま油に入れ、表面が固まってからそっとはずします。それでもばらける場合には、揚げ温度を160〜170℃くらいにまで下げてから揚げ始めます。

かぼちゃ・さつまいもなどの根菜類

5mm厚さに切ります。さつまいもは水にさらしてアク抜きし、よく水気をふきとります。、天ぷら衣にくぐらせ、160℃で揚げ始めます。竹串で刺してすっと通ったら油の温度を180℃に上げ、カラッとさせてから取り出します。揚げ時間の目安はかぼちゃが2分、さつまいもが3分ほどです。

竹串を刺して火の通りを確認

天ぷらの食べ方

天つゆ

醤油大さじ4、みりん大さじ1と1/3、酒大さじ2/3を小鍋でひと煮立ちさせてアルコール分を飛ばし、だし汁180mlと合わせます(約4人分)。お好みで大根おろしやおろし生姜を添えます。

天ぷらを塩でいただく食べ方もあります。バリエーションとして、塩大さじ1に対し、小さじ1くらいの割合で抹茶・カレー粉・粉山椒・昆布茶などをまぜてつけ塩とするのも一般的です。

監修:関岡弘美(料理研究家)