栗を電気オーブンや電子レンジで加熱するときの注意

栗料理の中でも、おうちで作る「焼き栗」は、手軽に栗本来の美味しさを楽しめる素敵な料理ですよね。でも、SNSで「焼き栗を作ったら、栗が破裂した」という投稿が話題になることも。
そこで、今回、NITE(ナイト)さん(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)にご協力をいただき、『皮を剥いていない栗』の加熱調理について実証実験を行いました。

今回の実証実験では、電子レンジ(以下、レンジ)・電気オーブン(以下、オーブン)を使用して、皮に数種類の切り込みを入れた栗を、それぞれ加熱しました。

その結果、レンジ・オーブン共に、皮に十分な長さの切り込みを入れていない栗は、破裂する可能性があることがわかりました。
一方で、栗に半周以上の長さの切り込みを、渋皮まで達する深さで入れると破裂しないという結果も得られました。


図1:左から「切り込みなし」、「切り込み1cm程度」、「切り込み半周程度」の栗の様子(写真:NITE提供)

破裂する原因は?

レンジ・オーブン共に、栗の皮の内部で生じた蒸気で内圧が高まったことが、破裂の原因と考えられます。

皮に切り込みがない栗では、栗の加熱により内部温度が高まり蒸気が発生し、その蒸気の圧力を逃がせずに内圧が高まって破裂したと考えられます。

また、皮に1cm程度の小さな切り込みを入れた栗でも、実験してみたところ、破裂が起こりました。先と同様に内部温度が高まって蒸気が発生し、栗の身が切れ目に詰まって塞がってしまったことで内圧が高まり、その圧力を逃しきれずに破裂したと考えられます。

図2:左から「オーブンでの栗破裂後の栗の様子」、「栗の身が切れ目に詰まっている様子」(写真:NITE提供)

破裂すると、どんな危険があるの?

今回の実証実験では、栗に十分な切り込みを入れずに加熱した場合、食材を無駄にしてしまうだけでなく、3つの危険な点があることがわかりました。

1.破裂による火傷のおそれがある

時間差で栗が破裂するケースが確認できました。加熱中に破裂していなかったとしても、加熱直後に取り出した瞬間、急に破裂して、手指や顔などに熱い破裂物が飛んで火傷してしまう可能性も考えられます。

2.庫内汚れの炭化による発火のおそれがある

破裂した際、栗が粉々になっているケースや、大小さまざまな大きさの粒になって庫内へ飛び散るケースもありました。破裂物の掃除が十分に行き届かず、庫内に汚れが残ったまま加熱を続けると、汚れが炭化してしまい、それが発火するおそれがあります。

3.破裂物が原因で機械故障につながる可能性がある

破裂後、レンジ・オーブン共に、さまざまな隙間へ飛び散った栗が入り込む状況が確認できました。これが原因で、機械故障につながる可能性も考えられます。

図3:左から「オーブンでの栗破裂後の様子」、「レンジでの栗破裂後の様子」(写真:NITE提供)

レンジ加熱する場合は、特に気をつけて!

レンジは、オーブンと比べて、短時間で多くの栗が破裂する結果となりました。また、今回実験で使用したレンジにおいては、皮に切り込みなしの栗を加熱した際、破裂の勢いでレンジ扉が開いてしまいました。それほどに、破裂の勢いが強いことがうかがえます。

また、レンジでは、栗やぎんなんなど殻や皮付きの食材を加熱することに対して、取扱説明書などを通じて注意喚起がされています。ご家庭で使用する製品の取扱説明書をよく確認しましょう。

参考:「電子レンジで加熱をしてはいけない食品に注意」

切り込みは、長さだけでなく渋皮まで達する深さで入れて!

先の通り、皮に十分な切り込みを入れていない栗は破裂する可能性があることはわかりましたが、今回は、鬼皮だけでなく渋皮に達する深さまで切り込みを入れていますので、その点も参考にしてください。

破裂を防ぐ方法は?

今回の実験結果から、栗をレンジ・オーブンで加熱するときは、「栗半周以上の十分な長さの切り込みを、渋皮まで達する深さで入れる」ことが、破裂を防ぐために重要だと考えられます。

料理は、食材個々の性質や調理環境、家電、道具など様々な条件で結果が異なってくるものです。「ご家庭のオーブンの特徴を知って、温度や加熱時間を調節する」という話を耳にすることもあるかと思います。ですので、今回の結果を一つの参考情報として、ご家庭の状況に合わせてご活用ください。

また、レンジ・オーブンに限らず、栗を調理器具で直接加熱するときは、同様の理由から栗が破裂してしまう可能性が考えられるので、ぜひ、長さ・深さを意識して切り込みを入れて調理することをおすすめします。

参考

クックパッドニュース:「レンチン中に大爆発!?「焼き栗」を破裂させずに作るコツは“切り込み”だった」

取材協力

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
NITE公式Twitter(@NITE_JP)
YouTube NITE official「せいあんちゃんねる」