ホールディングは有効?~牛ももVo.2~
Description
材料
作り方
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「ホールディング」とは「調理した塊肉を、それ以上調理が進まないような温度で“保温”しておくこと」だが、
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例えばレストランなどでオーダーが入れば温かい状態ですぐサーブできるように、ローストビーフなどに使われる手法である。
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ところがこの「ホールディング」には「保温」だけでなく、なんと「肉を柔らかくし、旨みをアップさせる」すなわち「肉の熟成」
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の効果があるとも言われている。「肉の熟成」とは「温度や湿度を完璧にコントロールし、肉を腐敗させずに微生物の働きよって
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旨みを引き出し肉を柔らかくすること」であるがこれには数十日もかかるという。
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前回、「ホールディングは有効?比較実験 ~牛もも編~(6585020 )」にてホールディングが肉の熟成と同様の効果がある
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のかを牛もも57℃で検証したが「4時間15分」よりも「12時間」、さらに「24時間」で旨みがアップすることが確認された。
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しかし・・・時間が長くなるにつれどんどんドリップが流出し、パサつきが出てしまった。
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これではホールディングは有効とは言えない。
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そこで今回はさらに低い温度の55℃で、長時間のホールディングでもドリップの流出を抑えられ、かつ旨みがアップすると仮定し
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検証を行う。前回のリベンジ編である。
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オーストラリア産牛もも(厚さ4cm)を使い、
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実験①BONIQ(55℃ 6時間10分)→ バッグに塩を入れて肉に含ませる
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実験②BONIQ(55℃ 12時間)→ バッグに塩を入れて肉に含ませる
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実験③BONIQ(55℃ 24時間)→ バッグに塩を入れて肉に含ませる
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①は4cmの厚さの牛肉を55℃で低温調理する場合に安全レベルまで加熱殺菌できる時間である。
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(※前回は57℃で行ったために4時間15分であった。)
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(「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較(5173129)
」参照:「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」
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この時、塩を入れるタイミングは低温調理後にバッグに塩を入れて肉に含ませることとする。
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が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。)
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ホールディングに効果があるとすれば①よりも②、③と時間が長くなるにつれて肉が柔らかくなり、旨みがアップするはずである。
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<比較実験>
すべて同じ大きさ、厚さに整えた牛もも肉を、
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実験①BONIQ(55℃ 6時間10分)
実験②BONIQ(55℃ 12時間)
実験③BONIQ(55℃ 24時間)
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BONIQの終了タイマーが鳴ったらそれぞれバッグを開けて塩を入れ、肉に含ませ冷却する。(1時間)
その後比較試食を行う。
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<比較実験結果>
まずドリップの量を比べてみると、
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実験①BONIQ 6時間10分:29g
実験②BONIQ 12時間:30g
実験③BONIQ 24時間:40g
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実験①と②は時間がかなり違うにもかかわらずほぼ同じ。ところが実験③は40gとずいぶんドリップが流出した。
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次に試食すると、
実験①:間違いなくしっとりとジューシー。みずみずしくフレッシュで肉肉しい。一番噛み応えがある。
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実験②:①より旨みがアップしている。パサつきはなく、程よい嚙み応え。全てにおいて①と③の中間。
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実験③:①②よりも明らかに旨みがアップしており、その旨みには丸みがある。パサつきはなく、一番柔らかく歯切れが良い。
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「③24時間」が一番ドリップの流出が多く、仕上がりの見た目もひと回り小さくなっていたため、またパサつくのでは?と
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予想したが、全くそんなことはない。なんと言っても一番柔らかく歯切れが良い!旨みは格段にアップしている!
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やや歩留まり(仕上がりの量)が減ったのが難点だが、それを凌ぐほどホールディングの効果があったと言える。
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前回の57℃で行った実験「ホールディングは有効?比較実験 ~牛もも編~(6585020)」ではホールディングの時間が
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長くなるにつれパサつきが出てしまったが、今回の55℃では「③24時間」が断然美味しいと思う。
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さらに1日経ってからもう一度試食してみたが、①~③の違いがより大きくなった。
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まとめると、
柔らかさ:③24時間 > ②12時間 > ①6時間10分
しっとりさ:① ≒ ② ≒ ③
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旨み:③ > ② > ①
総合的な美味しさ:③ > ② > ①
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でも③は一番ドリップが流出しているではないか、と疑問があると思うが、ドリップをテイスティングしたところ①が一番塩味が鋭く
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③が一番まろやかで旨みが感じられた。すなわち、この美味しいドリップはソースとして皿の上に戻してやるのが一番得策だと思う。
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「ホールディングは肉を柔らかくし、旨みをアップさせる」という説は「牛ももを、55℃ 24時間」では成立すると言える。
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コツ・ポイント
このレシピの生い立ち
さらなる低温調理の可能性を探るべく、次の実験に取り組みたいと思います。