脱水は有効?低温調理比較実験 牛タン編

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Description

あらかじめ食材の不要な水分を抜いてから低温調理をすることによって、一層旨みを閉じ込めることができるのか?

材料 (実験①〜③)

牛タン(ステーキ肉、厚さ3cm)
250g
オリーブオイル
大さじ1
2.5g(肉の重量の1%)
こしょう
適量

作り方

  1. 1

    加熱による、肉の脱水。
    高温調理と比較して、たんぱく質を破壊しない低温度帯で加熱をする低温調理はもともと

  2. 2

    「脱水(食材の水分流出)」が少ない調理法である。
    しかし、やはりBONIQ後のフリーザーバッグには肉から出た汁が残る。

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    この汁にこそ、肉のジューシーさや旨みが詰まっている。

  4. 4

    そこで、あらかじめ食材の余分な水分を抜いてから低温調理をすることによって、一層旨みを閉じ込めることはできるのか?

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    脱水の有無、また脱水時間によって、その仕上がりに違いはあるのか?

  6. 6

    前回「脱水は有効?低温調理比較実験 牛もも編(ID:6956523)」で食品用脱水シートを使い、牛ももブロック肉で、

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    以下の3パターンでそれぞれの仕上がりの違いを比べてみた。

    ①BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ②脱水12時間→BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ③脱水24時間→BONIQ→バッグに塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    その結果、「総合的なおいしさ:②≒③>①」となり「牛もも肉は脱水した方がおいしくなる」という結果になった。

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    部位や大きさを変えても、同様に「脱水した方がおいしくなる」結果となるのか?

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    そこで今回は「部位=牛タン」、「大きさ=(ブロックよりもサイズが小さい)ステーキ肉」に変えて比較実験を行う。

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    食品用脱水シートを使い、以下の3パターンでそれぞれの仕上がりの違いを比べてみる。

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    牛タン ステーキ肉を、

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    ①BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ②脱水12時間→BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ③脱水24時間→BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    塩を入れるタイミングはすべて低温調理後にバッグに塩を入れて肉に含ませることとする。

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    「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較(ID:5173129)」参照

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    「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。)

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    なお、上記実験では「低温調理後バッグに塩を入れ、1時間置いて含ませる」こととしているが、

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    今回の実験では便宜上「低温調理後バッグに塩・こしょうを入れ、5分間置いて含ませた後実食」とする。

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    <BONIQ設定>
    58℃
    2:40(2時間40分)

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    ※参照:「低温調理 加熱時間基準表(https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf)」

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    <比較実験>

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    ①BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ②脱水12時間→BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    ③脱水24時間→BONIQ→バッグに塩・こしょうを入れて肉に含ませる→焼き色をつける

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    脱水は牛タンを食品用脱水シート(「ピチット」を使用)で包み、冷蔵庫に保管して行う。

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    ③は脱水12時間経過後、シートを新しいものに交換する。

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    写真

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    写真

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    写真

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    写真

    BONIQは58℃ 2時間40分行う。

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    BONIQの終了タイマーが鳴ったらそれぞれバッグを開けて塩・こしょうを入れ、肉に含ませる。

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    フライパン(強火)で牛タンの表面に焼き色をつける。
    スライスし、比較試食を行う。

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    <比較実験結果>

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    写真

    まずバッグに残ったドリップの量を比べてみる。
    脱水を行なっていない①に比べて、脱水を行なった②(脱水12時間)と

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    ③(脱水24時間)のドリップ量の方が明らかに少ない。

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    特に、脱水24時間後BONIQした③のドリップ量の少なさは顕著である。

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    ②、③は脱水後に牛タンの重量が減少(②-25g、③-35g)していたことからも、その分低温調理時に出るドリップの量も

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    減ったと考えられる。
    調理前の牛タンの重量は250gだったことから、12時間の脱水でも10%の水分を減らすことができた。

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    写真

    写真左から、③脱水24時間、②脱水12時間、①脱水なし

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    次に実食してみると、①に比べて②は肉の風味や旨み、そして甘みをよりダイレクトに強く感じる。

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    さらに、③は②よりもやわらかいのにしっかりした肉質になっている。

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    温度ではなく肉の水分量の違いでもここまで差が出るのか、と驚くレベルである。

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    ②、③と比べると①は少し水っぽく、また味も薄く感じられるほどである。

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    ということで、
    総合的な美味しさ ③>②>①

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    間違えてはいけないのは②、③と共に①の「脱水なし」の3つの方法とも、従来のフライパンで焼いたりする調理法に比べて

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    格段にやわらかくジューシーであり、ここではどれが大関でどれが横綱かというハイレベルの話である。

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    それにしても低温調理前の脱水効果は大きい。

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    「脱水は有効?低温調理比較実験 牛もも編(ID:6956523)」でも

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    「脱水した方がおいしくなる」という結果になったが、②(脱水12時間)と③(脱水24時間)の差はここまで大きくなかった。

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    牛もも→牛タン、重量(サイズ)400g→250gと部位、サイズを変えた今回の実験では、

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    「③脱水24時間後BONIQ」が1番ベストな仕上がりであるという明確な結果となった。

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    これだけ差が出るのであれば、牛もも肉、ブロック肉に続き牛タン肉、ステーキ肉でも、

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    ぜひ「脱水後低温調理」をおすすめしたい。

  58. 58

    <<作った感想>>

  59. 59

    牛もも編(「脱水は有効?低温調理比較実験 牛もも編(ID:6956523)」)の結果からも、

  60. 60

    実験前に予測をしていた通り(むしろ、それ以上!)の違いが見られました。
    もっと薄い肉でも同じ結果となるのか?

  61. 61

    まだ検証は必要ですが、今後は時間が許す限り肉の脱水を行なった上で調理するようにしたいと思います。

コツ・ポイント

脱水シートの給水量には限度があります。(シートによる。)
長時間脱水を行う際は、必要に応じて新しいシートに交換してください。

このレシピの生い立ち

牛タン肉、ステーキ肉も、脱水した方がおいしくなる!

「脱水は有効?低温調理比較実験 牛もも編(ID:6956523)」の牛タンステーキ編。
レシピID : 6974017 公開日 : 21/10/08 更新日 : 21/10/08

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