70℃〜 クロテッドクリーム比較実験の画像

Description

温度と時間を設定し、クロテッドクリームがどのように仕上がるかを検証する。

材料

BONIQする材料
 
ほか、調理器具など
ホーロー容器(約15×10×高さ6cm)
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キッチンペーパー
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作り方

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    <比較実験背景>

    BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

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    クロテッドクリーム、それは日本ではマイナーな部類の食べ物であると思うが、イギリスではなくてはならない食べ物の一つである。

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    日本でご飯とお味噌汁がセットのように、紅茶とスコーンにはジャムとクロテッドクリームがセットなのである。

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    バターと生クリームの中間のようなクリームで、サワークリームやクリームチーズとも違う。

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    一般的なスーパーでは見かけないし、高級輸入食材店なんかに行けば手に入るが、決して安くはない。

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    イギリスの伝統的な作り方は牛乳か生クリームを煮詰めて一晩冷やしておき、表面に固まった乳脂肪を集めて作っていたとされる。

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    筆者はイギリスにあるフランス料理の学校(イギリス料理の授業も少しあった。)に通っていたことがあるが、

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    そこではこの方法を教わった。

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    現在では他にもいろいろな方法があるが、オーブンに入れておく方法、炊飯器に入れておく方法、湯せんで火にかけておく方法・・・

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    BONIQなら温度管理が得意中の得意なので、間違いなくクロテッドクリームは作ることができるはず。

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    でも湯せんの温度を調べてみるとまちまちで、オーブン180℃で12時間、湯せん55℃で12時間、65℃で15時間、

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    80℃で20時間、90℃で1時間・・・温度も時間もさまざまである。

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    90℃で1時間が一番簡単そうで良いが、温度が低い方がなめらかに仕上がるのか、

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    時間が長い方が脂肪分が多く固まるのか、高温なら短時間でできるのか???

    そこで、次のように温度と時間を設定し、

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    実験1. 70℃ 12:00(12時間)
    実験2. 80℃ 12:00(12時間)

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    実験3. 90℃ 12:00(12時間)
    実験4. 90℃ 1:00(1時間)

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    どのように仕上がるかを検証する。

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    写真

    <BONIQ設定>

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    実験1. 70℃ 12:00(12時間)
    実験2. 80℃ 12:00(12時間)

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    実験3. 90℃ 12:00(12時間)
    実験4. 90℃ 1:00(1時間)

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    写真

    <比較実験>

    ホーロー容器に生クリームを入れる。

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    写真

    コンテナラックにメッシュトレーを2枚セットし、その間に容器を入れる。

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    写真

    セットしたコンテナラックを湯せんに入れ、水滴が容器の中に落ちないようペーパーを被せる。

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    写真

    保温ルーフ(フタ)を被せ、それぞれの設定時間・温度で低温調理をする。

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    この時、湯量を容器の8割の高さまで浸かるようにする。

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    BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら容器を引き上げ、粗熱を取って冷蔵庫で1日冷やす。

    その後それぞれを比較する。

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    ※容器の8割の高さまで湯せんに浸かるようにする。

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    高温・長時間調理時は湯せんにカバーをする。(鍋:ラップ、コンテナ:フタ)

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    <比較実験結果>

    結果は・・・

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    写真

    「実験1. 70℃ 12時間」と他が大きく違う点は、実験1は分離しなかったので液体の部分が全く無い。

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    写真

    従来クロテッドクリームを作ると、「乳脂肪分」と「液体」に分離し、上澄みの乳脂肪分のみを取り出したものが、

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    クロテッドクリームとなる。

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    しかし「実験1. 70℃ 12時間」は分離しなかったので全てがねっとりしたクリームに仕上がった。

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    取れ高100%である。一番濃度がありねっとりしている。

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    その味わいは、クリームの風味に加えかすかに酸味と苦味を感じ、フレッシュチーズのようなニュアンスがある。

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    従来のクロテッドクリームとは違うかもしれないが、クリームチーズや酸味の少ないサワークリームのようである。

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    写真

    「実験2. 80℃ 12時間」はクラスト(表面にできるタンパク質と乳脂肪分の黄色い膜)が程よくある。

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    これぞクロテッドクリーム!という見た目である。乳脂肪分と液体に分離しており、

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    クリーム(固体)の部分は程よくバターのような生クリームのような風味を感じる。

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    4つの中で一番甘みを感じ、味わいや香り全てにおいてバランスが良い。

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    写真

    「実験3. 90℃ 12時間」は表面のクラストの部分がやや黄色を通り越して茶色っぽくなっている。

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    写真

    実際食べてみるとバターの風味を強く感じる。焦がしバターのようで、ナッツのような香ばしさがある。

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    これはこれでアリだと思う。いかにも加熱し過ぎという見た目とは裏腹に「実験1. 70℃ 12時間」よりも苦味が少ない。

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    甘みは「実験2. 80℃ 12時間」よりも減る。スコーンに添えるにはやや主張しすぎかもしれないが、

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    カナッペ(薄くスライスしたパン、クラッカーなどに具材を乗せて仕上げるフランス料理)のようにパンやクラッカーに塗ったり、

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    料理に添えるなど別の使い方をすれば面白いのではないか。

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    「実験4. 90℃ 1時間」はクラストがまだ白い。固体のクリームの部分の味わいは、バターのような風味はなく、

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    写真

    生クリームそのものに近い。

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    写真

    画像(分離した液体):左から、
    実験2. 80℃ 12時間 12g、
    実験3. 90℃ 12時間 15g、

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    実験4. 90℃ 1時間 30g

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    手順49の画像のココットに入ったものは分離した液体であるが、実験2、実験3の液体部分が半透明なのに対し、

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    この実験4は白っぽく量も倍ほど多く、味わいもまだ生クリームのようなので加熱不足だと考えられる。

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    写真

    まとめると、
    4つの中では「実験2. 80℃ 12時間」が一番バランスが良い王道のクロテッドクリームと言える。

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    これをベースとして、温度が低いと分離せず生クリームの固まりとなる。

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    ここから温度が高くなるにつれバターの風味が強くなるが「90℃」では甘みは減る。「1時間」は加熱不足である。

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    今回の4つでは「実験2. 80℃ 12時間」がベストだったが、

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    もっとバターの風味がほしいなら「85℃」くらいまで上げても良いのかもしれない。

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    《作った感想》

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    大学時代の短期留学と料理学校(イギリスにあるフランス料理の学校)に通っていた時の2回イギリスに住んでいました。

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    大学時代のホームステイ先のホストマザーのおばあちゃんは学校から帰ってくると、

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    近所のどこかで買ってきたケーキを時々用意してくれていました。

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    かなり素朴なケーキにヘビークリーム(乳脂肪分の高い生クリーム)をどばーっとかけて食べるのが当たり前?のようで、

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    それが楽しみでした。(太った・・・)当時、近所に売っていたケーキは日本のものと比べても垢抜けず、

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    重たいものが多い印象でした。

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    現在私は東京に住んでいて、家の近所に目を見張るように美しく、

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    びっくりするくらい美味しい有名パティシエさんのケーキが手に入る中で今、

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    当時のイギリスの家の近所のケーキを食べたらびっくりするかもしれないですが、当時はそれが美味しく、

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    良い思い出として心に残っています。

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    (今はロンドンを中心にイギリスには美味しいお店も多くあるようですし、当時とは状況が全く違うと思います。)

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    実験の結果、今のところ「80℃ 12時間」がベストですが、さらに良い設定温度と時間が見つかるかもしれません。

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    マニアックな比較実験に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!

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    《クロテッドクリーム 比較実験シリーズ》

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    「70℃〜 クロテッドクリーム比較実験(ID:7604715)」

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    「80℃〜クロテッドクリーム比較 決定版(ID:7728322)」

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    ●BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)は「BONIQ コンテナ」で検索

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    ●BONIQ 深型キャセロール鍋は
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コツ・ポイント

今回の4つでは「実験2. 80℃ 12時間」がベストだったが、もっとバターの風味がほしいなら「85℃」くらいまで上げても良いのかもしれない。

このレシピの生い立ち

スコーンを食べる機会は日本に帰ってきてから自分で作って食べることが多いですが、やはり家庭的な素朴なものにたっぷりのクロテッドクリームとジャムをつけて食べるのがこの上ない幸せですね。
レシピID : 7604715 公開日 : 23/12/08 更新日 : 24/05/30

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